米国の高齢者団体AARPが、2026年に特に警戒すべき「5つの詐欺」についての予測と警告を発表しました。
AIの悪用が常態化しつつある今、米国で警告された手口は、日本でも流行る可能性が高いので、注意が必要です。
求人詐欺
まず注意したいのが、経済情勢の変動や将来への不安を逆手に取った「求人詐欺」です。定年後のセカンドキャリアや、年金の足しにするための在宅ワークを探している高齢者が標的となっています。かつてのような粗雑な怪しい広告とは異なり、2026年の求人詐欺は、実在する企業や人材紹介会社をかたり、プロフェッショナルな見た目の求人サイトやSNS広告を通じて接触してきます。
特に注意が必要なのは、採用プロセスの一環と称して「料金」や「個人情報」を要求してくるケースです。「採用決定」という甘い言葉とともに、制服代、研修費、あるいは業務に必要な専用機器の購入費として、前払金を求めてくるのが典型的なパターンです。また、給与振込のためと称して、銀行口座の暗証番号や社会保障番号などの極めて重要な個人情報を聞き出そうとする手口も横行しています。少しでも稼ぎたいという焦りや前向きな意欲が、詐欺師にとってはつけ入る隙となることを忘れてはいけません。
被害回復詐欺
一度詐欺被害に遭った人々を再び狙う「被害回復詐欺」です。これは、過去に何らかの詐欺で金銭を失った人に対し、「奪われたお金を取り戻すことができます」と持ちかけて近づく手口です。彼らは、警察や弁護士、あるいは消費者保護団体などを名乗り、もっともらしい肩書きや偽造された書類を提示して信用させようとします。
被害に遭った直後の人々は、資産を失ったショックと、「何とかして取り戻したい」という焦燥感の中にいます。詐欺師はその心理状態を狙って、「手数料を払えば返金手続きができる」「調査費が必要だ」と言って、金銭を搾取しようとするのです。一度失ったお金を取り戻すのは困難であり、甘い言葉で近づいてくる救世主は、実はハイエナである可能性が高いので注意しましょう。
デジタル逮捕詐欺
3つめが「デジタル逮捕詐欺」と呼ばれる手口です。従来の「架空請求」や「なりすまし電話」が、テクノロジーによってより悪質に進化した形態です。
ある日突然、警察官や連邦捜査官を名乗る人物からビデオ通話がかかってきます。画面の向こうには、本物そっくりの制服を着た人物や、警察署のような背景が映し出されているかもしれません。その人物は、身に覚えのない犯罪容疑がかかっていると告げ、その場で「デジタル的な拘束」を宣言するのです。この詐欺は、被害者を長時間にわたって拘束し続けます。ビデオ通話を切ることを許さず、何時間、時には数日にわたってカメラの前から動かないよう指示してきます。
「通話を切れば、即座に警官を自宅に向かわせる」や「逃亡の恐れありとみなして逮捕する」といった脅し文句で、被害者の思考能力を奪っていくのです。この極限のストレス下で、詐欺師は「保釈金」や「和解金」の名目で送金を要求します。公的機関がビデオ通話で逮捕を宣告したり、金銭を要求したりすることは絶対にない、ということを覚えておいてください。
「やあ、変質者さん」詐欺
4つめが、通称「ハロー・パーバート(やあ、変質者さん)」詐欺と呼ばれる、不特定多数にばら撒かれる脅迫メールです。件名や本文にこのような挑発的な文言を用い、「あなたのPCをハッキングした」「恥ずかしい写真や動画を入手した」などと嘘の主張を並べ立てます。そして、「これらを登録してある連絡先にばら撒かれたくなければ金を払え」と脅迫するのです。実際にはハッキングなどされておらず、画像も存在しないケースがほとんどですが、恥ずかしいという感情や、誰にも知られたくないという恐怖心を煽ることで、口止め料を支払わせようとします。
ロマンス詐欺
最後が、依然として猛威を振るう「ロマンス詐欺」です。SNSやマッチングアプリを通じて知り合った相手が、時間をかけて信頼関係を築き上げ、恋愛感情や親近感を抱かせたところで、金銭や暗号資産への投資を持ちかけます。AARPが「ラブ・ボミング(愛の爆撃)」と表現するように、詐欺師は出会った当初から過剰なほどの愛情表現や称賛を浴びせ、被害者の心のガードを下げさせます。孤独感や、誰かと繋がりたいという純粋な気持ちを悪用し、最終的には資産を奪い取る残酷な手口です。
これら全てに共通するのは、被害者を慌てさせたり孤立させたりして、「感情を揺さぶる」という点でしょう。さらに、AI技術の進化により、詐欺師の言葉遣いや作成する画像、音声はますます本物と見分けがつかなくなっています。しかし、どんなに技術が進化しても、詐欺の根底にあるのは「人間の心理を操るトリック」です。
最大の対策は、何か行動を起こす前に必ず「一呼吸置く」ということです。電話でお金を要求されたり、脅されたり、あるいはあまりに魅力的な話を持ちかけられたりしたときは、即答せずに、いったん通話を切り、家族や知人に相談してください。日本では警察の相談専用電話(#9110)も利用できます。詐欺師は、あなたが誰かに相談し、冷静さを取り戻すことを何よりも恐れています。「自分だけは大丈夫」という過信を捨て、「自分も狙われているかもしれない」という健全な警戒心を持つことが重要なリテラシーなのです。
(出典)
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/dlis/2083069.html


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